武術の身体能力開発

武術の型と形

武術には…、

『決められた連続する動きの型』と
『1つの技を約束した動きでする形』

がある。

以前、空手を修行していた知り合いが、
... 「型は実戦の雛形」と言っていたのを思い出す。

映画の「●●キッド」ぢゃあるまいし、
実戦で「型」そのままの動きなど出来はしない。

空手団体代表の友人達が言うとおり、
「力を練るのと、動きを練る」のが目的なのだ。

うちは、柔術でも護身術でも「形」を練習するが、
これは、空手の「約束組手」に相当する。

もちろん、これだけでは実戦に使えない。

あとは、スパーリング(自由組手)などで、間合い
などの勝負勘(感覚)を学んでいくしかないのだ。


側軸(二軸歩行)

このところ、『ナンバ歩行』は、『二軸歩行』とも呼ばれてきています。

また、『常足』(なみあし)という言葉を使っている団体もあります。

各々、運動理論の細部が異なり、主張し合っているような印象を受けますが、
まあ基本的には同じものです。


武術では、“中心軸”としての『体軸』ができれば、動きのパフォーマンスが
向上しますので、私も強く主張してきました。

ところが 最近、“中心軸”ではなく、“左右軸”(二軸)が、重要とする考え方
が主流になってきています。

それでは、もう “中心軸”は、必要無いのでしょうか?!


ここでは、私の“中心軸”と、“二軸”の考えを述べたいと思います。


【泉水流柔術】では、“二軸”を『側軸』と呼んでいます。

名前は記号ですから 何でも良いのですが、ここからは『側軸』と呼ばせてください。


泉水流では、“丹田”も“体軸”も 意識体としていますから、“体軸”の1つである
『側軸』も意識体と認識しています。

“丹田”は身体の重心部分、“中心軸”は身体を縦に貫く中心線部分ですから、
意識しやすいのですが、『側軸』はどこを意識すれば良いのでしょう。


目安としては、肩(肩関節)と、腰(股関節)をポイントにして、
この2点を結んだ線を軸としています。


両肩の関節に接続された「上腕骨上部の丸く出っ張った部分」を、
まず ポイントの1つとしましょう。

骨盤と大腿骨が接続された部分が、股関節です。
この、股関節に接続された「大腿骨の上部外側の丸く出っ張った部分」を、
もう1つの ポイントとしましょう。

この2つのポイントを、仮想の線でつなげたラインが 『側軸』なのです。



大切な事は、こわれたロボットみたいに “手足の同時運動” を練習する事では無く、
“正中面”(真直ぐ正面を向く姿勢)を作る事です。


そして、体幹部(胴体)を捻る事でおきる、力や時間のロスを防ぐために、
『肩と腰の動きを一致させて』移動するのです。


“中心軸”の方が理解しやすく、効果も体感しやすいので、まずは“中心軸”を
作るべきだと思います。


それから、意識を“中心軸”に残したまま、『側軸』を作っていきます。


もし仮に、『側軸』だけを作れたとしても、高いパフォーマンスは望めません。

『側軸』を、上手く使いこなすのは、“中心軸”が出来ている人だけなのですから。



丹田(上・中・下)

 丹田(たんでん)って知っていますか? えっ、聞いたことはある?!

 丹田に関する質問が多いので、解説していきたいと思います。



 最近、気功などの呼吸法が、一般に習えるようになりましたね♪

 ですから「聞いたことはあるよ!」という方も多い事と思います。



 武術でも、『下丹田』を重視しています。

 …というか、古流の武術では、“極意” の 1つとされています。


 “下”の丹田があるって事は、“上”の丹田もあります。

 じつは、丹田には “上・中・下”の丹田があるのです。




         ◆          ◇          ◆



●『下丹田』
 

 よく、『臍下丹田』とも言いますね。

 臍下(せいか)って言うぐらいだから臍(へそ)の下にあります。


 あっ! そこ 何をしてるんですか〜っ。。。

 パンツの中を覗いても、見えるわけ無いでしょう!!


 皮膚の表面には無いですよ〜!

 身体の内部(中心部)にあります。



 以前、アパパの呼吸法講座に 外科医師をされている男性が参加されました。

 「丹田とは? 丹田の位置とは?」

 解剖学の見地から、それを確かめたくて参加されたそうです。



 初めは半信半疑でしたが、丹田の説明させていただき、実際に“”を見たり

 感じたりしていただいて納得されたようです。




 昔は『下丹田』を、肚(はら)とか、胆(きも)と言っていました。

 『胆(きも)を練る』とか『肚(はら)が出来た』と言います。

 “いざ”という時に『物事に動じない』事を重視したわけです。



 下丹田(臍下丹田)は、経穴(ツボ)で言う所の『気海穴』に当たります。

 体軸が出来て下丹田が出来れば、ムダな力は必要なくなります

 それだけで“肉体疲労”は軽減し、“精神疲労”(神経衰弱)も改善されると

 言われています。



 『身体の動きが安定する』というのも、大きなメリットと言えるでしょう。




 【下丹田の位置】


 位置については、昔から いろいろ言われていますね!

 「臍下、指3本下」とか、「臍下三寸(9センチ)」とか、「いや臍下3センチだ」

 もう バラバラです。


 私も、「へそ下から指3本分下と、第5腰椎と仙骨の間の中心あたり」

 などと、格好つけて言っています。

 しかし、第5腰椎では無く、第4とか 第3とか説明している人もいるのです。


 あのね、これ全部正しくもあり、全部間違っているんです。

 何故なら、丹田は 人によって 位置の“感覚”がバラバラだからです。



 つまり…、


 【 丹田はイメージ 】


  『丹田』は、『 自分で球(ボール)の意識をつくる 』

  それも、身体の表面では無く、『 身体の真ん中にあるイメージ』


 …なのです。




 「なぁんだ! 実体が無いのかよ!」

 「どうやって自分の丹田を確かめるんだよ!」



 それはね、『下丹田は、自分の身体の重心が安定する場所』だから、

 『重心点』である事が分かります。



 うちの息子が鉄棒をやっていて、「パパ〜! 見てみて〜♪」という声の方を

 見ると、鉄棒の上に両手両足を離して体幹部(胴体)だけでバランスをとって

 いるのを見ました。

 この身体に鉄棒をくっつけている部分の真ん中あたり、と考えて良いでしょう。



 また その部分は、神経そう(神経の集まっている部位)でもあります。

 故に、それを利用すれば 位置の“感覚”をつかみやすい訳です。




         ◆          ◇          ◆




●『中丹田』


 『下丹田』が 臍の下なら、『中丹田』は 胸の中央にあります。


 …だから、ブラの中を覗いても、見えるわけ無いって!!

 あっ!  無いって… そういう意味じゃあなくて。。。

 あ〜っ!!! バキッ☆ ドスッ☆ バシッ☆ ←(なぐられた音)



 はあ はあ。。。皮膚の表面には無いですよ〜! (T0T)

 これも身体の内部(中心部)にあります。



 中丹田は、経穴(ツボ)で言う所の『壇中穴』に当たります。


 相手の想いを知ろうとしたり、自分の想いを伝えたりする時に使えます。

 つまり、コミュニケーションにも使える丹田なんです。

 そして、やる気が起きる情熱の丹田でもあります。



 “胸に手を当てて よく想いかえしてみる” “胸が痛い” “胸が苦しい” など

 心・人の想いに関する場所は胸なのです。



 あなたも、胸に熱いものがこみ上げてくる事があるでしょう?

 えっ! 胸焼け?!  …もう、聞いてあげないから…。。。
 


 武術的には、相手の出方を知る事で 出鼻をくじき、攻撃させないようにする

 という達人の技には不可欠です。

 まあ、コミュニケーションの丹田とも言えますから、仲良くなってしまえば

 戦いを避ける事ができるわけです。



 ただし、相手のコミュニケーション能力が無い場合は無理です。

 それでも、『中丹田』の意識が出来ると、『下丹田』の重心の安定を更に助け

 ますし、度胸もつきます
ので有利になります。



 【中丹田の位置】


 乳首と乳首の間の位置で胸骨と肩甲骨の間。 臓器は心臓。

 上半身の重心位置。 上半身の神経そうと上肢の筋肉が集中している。


 そして…、


 【 丹田はイメージ 】


  『丹田』は、『 自分で球(ボール)の意識をつくる 』

  それも、身体の表面では無く、『 身体の真ん中にあるイメージ』


 …なのです。





 昔、「胸中」 「本当の訳」 「極意」 を、旨(むね)と読みました。


 話す時も 歌っている時も、一生懸命に想いを伝えたい時って 自然と胸に

 手をやるはずです。

 パワーストーンを胸に下げる事も、ちゃんと意味のある事なんです。



         ◆          ◇          ◆



●『上丹田』


 『上丹田』は、眉間にあります。


 そうそう! よく 『第3の目』なんて言っているところ!!


 上丹田は、経穴(ツボ)で言う所の『印堂穴』に当たります。

 『天帝』などと呼ぶ事もあります。



 最近、職業訓練じゃない方の【能力開発】でも注目されている部分ですね。

 アイディアなどが閃いたり、平均を超える能力が目覚めると言われています。

 宗派を作った昔の偉いお坊さんとか、超能力者とか…。

 なんか、怪しい?!  ま、それはともあれ…。。。



 武術的には、勘が鋭くなり危険回避に役立ちます

 危険な場所に近づかなければ、無事でいられますからね。

 私も、何度か これで命が助かっていますよ♪


 誰かが隠れていても、気配で分かるのも“気”を感じるからです。

 そして 何かを教えるのは、この『上丹田』の働きです。




 【上丹田の位置】


 頭部の重心位置。 眉と眉の間の少し上。 臓器は脳。

 
 特に、脳の松果体と脳下垂体に影響を与えるといわれる。



 そして…、


 【 丹田はイメージ 】


  『丹田』は、『 自分で球(ボール)の意識をつくる 』

  それも、身体の表面では無く、『 身体の真ん中にあるイメージ』


 …なのです。




 よく、『丹田は チャクラとは違うんですか?』と聞かれます。

 『丹田』と、『チャクラ』は同じようなものです。



 ただ、『チャクラ』は7つ(派によっては8つ)ありますが、『丹田』は、3つで

 対処しているのです。

 体内意識の3つで、『チャクラ』7つ分を兼ねていると言っても良いでしょう。



 さらに言えば、元々“意識体”ですから、逆にもっと増やす事もできるわけです。

 多い少ないで優劣があるわけではありません!

 多ければ、その分細かく身体のコントロールができるわけですし、

 少なければ、その分簡単に身につくわけです。

泉水流では、この『丹田』という“極意”を身につける具体的な方法を 伝授しています!


無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2007年)より掲載



歩きと走りの筋肉

 身体の移動は、生活の基本です。

 野生動物も 移動できなければ、食べる事ができずに 死を待つだけです。

 我々人間も、よく「歩けなくなったらオシマイだね!」などと言っていますね。


 武術では、ムダな力を入れずに すばやく動けなければ、即、命にかかわりますから

 身体の移動の仕方は 昔から研究されてきました。


 これを生活に取り入れることで、快適な移動が出来ます。

 何故なら、筋肉を力ませての移動は、疲れるだけだからです。



 まず、少し フトモモ前部にある 大腿四頭筋 の勉強をしていきましょう。

  大腿四頭筋は、名前のとおり、次の4つの筋肉からなっています。


 ・ 大腿直筋 … ヒザ上の真中にある大きい筋肉

 ・ 内側広筋 … ヒザ上にある内側に膨らんだ筋肉

 ・ 外側広筋 … ヒザ上にある外側を占領した筋肉

 ・ 中間広筋 … 大腿直筋よりも深い部分にある筋肉


 通常、大腿四頭筋は 脚を伸ばすための筋肉です。

 厳密に言うと、ヒザを伸ばすための筋肉です。

 泉水流で、よく言われる“伸筋”ってやつです。



 ですから、立ち上がったり、地面を蹴る、サッカーや格闘技のキックなどに使われます。

 逆に、脚を曲げるときに 使われるのは、脚の後にあるハムストリング群なのです。

 しかし、ヒザを曲げて持ち上げようとすると、大腿四頭筋まで働かせてしまう人がいます。

 しかも、そのような人は、スポーツマンの中にも多く見られるのです。

 
          ◆◇◆        ◆◇◆        ◆◇◆


 ヒザを曲げて持ち上げようとすると、大腿四頭筋まで働かせてしまう人がいます。

 あ、多少は働きますよ!  筋肉は連動していますからね。。。

 でも、本当に この状態だけでフトモモがコチコチになっている人が多いです。


 私は、中学時代は 陸上部でした。

 練習で、毎日 毎日、長時間 “腿上げ” をやらされました!

 その場で、ヒザを曲げて高く持ち上げながらの足踏みをするんです。。。


 今でこそ、運動科学が発達して、長時間の “腿上げ” は、害にしかならない事が

 分かっていますが、当時は 当たり前に正しいと思われていた行為だったのです。


 みんなムキになってガンバりますから、力んだ状態で “腿上げ” するのが

 身についてしまいました。


 例えば、力んだ状態でキックしても、力が内側にこもるので…、


 1.スピードが遅いです

 2.パワーがでません

 3.破壊力もありません


 …と、3拍子そろってしまいます。


 投球(パンチもそうですが)などで、力んで(入力して)いる状態でボールを

 投げても速い球を投げられませんし、遠くにも飛びませんね。


 当たり前ですが、力を入れる(入力)行為は、自己満足させる行為です。

 力んで(入力して)も、力を出すこと(出力)が出来ません。





 大腿四頭筋に限らず 大切なことは、


 1.目的に応じて、必要な筋肉を使う

 2.不必要な筋肉は、極力使わない


 ただ、これだけなんです。

 でも、殆どの人が、生活習慣で 使い方にクセがついています。



 人間は機械ではありませんから、インストールされた動きを

 簡単にアンインストールするわけにはいきません!


 そこで、時間をかけて正しい動きを、上書き保存してやる必要があります。

 それこそ、太極拳のようなユックリ運動なのです。


 すばやい動きは、間違った動きをしている自分自身を、誤魔化します。

 だからこそ、ゆっくり動く練習が必要なのです。


          ◆◇◆        ◆◇◆        ◆◇◆


 「泉水さんも、他の古流(武術)の先生と同じで、筋トレ否定派なんですね!」

 なんて よく言われますが、そんな事はありませんよ!


 ただ、筋肉強化は最終手段だと主張しているのです。

 まず、筋肉の使い方をマスターしてから、弱い部分を強化するべきだと思います。


 一般に、スポーツジムで筋トレというと、バーベルなどのフリーウエイトか、

 マシーンを使った“筋肉繊維肥大運動”がメインになります。

 良いか悪いかでは無く、それを目的としている所なのです。



 身体操作に優れたアスリートたちが、自分の弱い部位の筋肉を強化する場所なのです。

 脱臼癖のある選手などは、その周辺の筋肉を強化する必要があります。


 そのまま身体操作もできない一般人向けに、同じサービスを提供しているので

 筋肉繊維だけが肥大して、動けなくなっている人が増えているのです。


 ジムのインストラクター達でさえ、「筋肉さえ肥大させれば何とかなる」と、

 信じて疑わない人が多いのです。

 何故なら、若いうちならば、それでも そこそこ成績が出せるからです。


          ◆◇◆        ◆◇◆        ◆◇◆


 確かに、歩く、走る、飛ぶ、といった運動に、大腿四頭筋は不可欠です。

 何故なら、すべて身体を支えて行う運動だからです。

 特に、飛ぶ(ジャンプ)は、最も大腿四頭筋を活用する運動ですね。


 もちろん運動は全て、全身を使って行われますし、脚部も大腿四頭筋だけで無く

 腿裏(ハムストリング群)や、ふくらはぎ(腓腹筋)も順序良く使います。



 中国武術をはじめ外国の格闘技は、飛ぶ(ジャンプする)動きの多いものがありますが、

 日本は少ないですね。

 (能や歌舞伎で、大腰筋などを使って上方向へ飛ぶ動きもありますが、

  歩く、走るとは異なる動きなので、ここでは省きます)


 地面に対し、上下の運動よりも、水平の運動を好むからです。

 正しいかどうかではなく、日本人の体質に合わせているだけです。



 日本の武術は、上方向に飛ぶのではなく、前方向に移動しようとするのです。

 ですから、飛ぶ(ジャンプ)という意識が薄いのです。


 ですから、ここでは歩く(ウォーク)と、走る(ラン)を見ていきましょう。


 先程、“日本の武術は、前方向に移動する”と、言いました。

 つまり、“歩く(ウォーク)のに、上方向に飛ぶ必要はない”という事です。



 前進しようとするのに、上方向への力が働くと、推進力がロスするからです。

 ジャンプする行為が“ふんばる行為”となり、推進力にブレーキをかけてしまいます。

 
          ◆◇◆        ◆◇◆        ◆◇◆


 じつは、身体を支える筋力って、そんなに必要ではありません!

 重力に対抗して、最低限の筋力で立てば良いのです。


 伸筋である大腿四頭筋でも、アウターマッスルである


 ・ 大腿直筋 … ヒザ上の真中にある大きい筋肉

 ・ 外側広筋 … ヒザ上にある外側を占領した筋肉


 などの力は、そんなに必要としません。



 ・ 内側広筋 … ヒザ上にある内側に膨らんだ筋肉

 ・ 中間広筋 … 大腿直筋よりも深い部分にある筋肉


 などの、骨に近い インナーマッスルを使って立つのです。



 そして、身体を移動する時に、大腿直筋や外側広筋も使うのです。

 ただし、地面を蹴る(キックする)のではありません。



 身体を少し前傾させて 倒れ込むのを利用して、地面を押す(ブッシュする)のです。

 ただし、これだけでは 前傾しっぱなしで 地面を押さなければなりません!!

 漫画じゃ あるまいし、現実には無理な話です。



 それに、ふくらはぎ(腓腹筋)まで使って地面を蹴るものなら、

 余計に身体は上方向に伸び上がってしまいます。



 そこで腿裏(ももうら)の筋肉ハムストリング群を使うのです。

 ハムストリング群は、大腿二頭筋・薄筋・半腱様筋・半膜様筋からなります。


 これらは、ヒザを曲げる働きをする屈筋です。

 この、『脚を後へ運ぶ力を利用して、身体を前方へ運ぶ』のです。

 この時は、ふくらはぎ(腓腹筋)を使わないので、カカトは地面につけたままです。


 身体が前方へ移動したら、大腿四頭筋で地面を押すのです。

 この時、初めて ふくらはぎ(腓腹筋)を使って、身体を押すフォローをします。




 武術の達人やトップアスリート達の走り出しを まとめると…


 1.背中をまっすぐにしながら状態を前方へ傾ける(自然落下運動)

 2.ヒザの力を抜き、腰をつき出して加速する(自由落下運動)

 3.ハムストリング群の力で、身体を前方へ運ぶ

 4.大腿四頭筋で地面を押す


 …と、なります。



 スピードが乗って来ると、走りは必然的に脚部が先行するという生理的な問題と、

 空気抵抗の浮力によって、上体が持ち上がっていき胸部がせり上がり、

 最終的には腰部を突き出す形で走る格好となります。



 以上が、走り(ラン)と 歩き(ウォーク)の 運動理論です。


 祖父に、よく 『服の中を見よ! 肉の中を見よ!』と言われました。

 武術の達人は、“表面は同じ動きに見えても深部や細部が異なっている”のです。



ゆっくり運動

健康ブームの中、現れては消えていく 様々な運動が多くあります!

正直、「なんでやねん!」ってな運動もありますよね。

今日は、そんなブームが去った中でも、「これは使える♪」という運動を、

1つ紹介したいと思います。



で、今日は 『ゆっくり運動』です!


 
         ◆          ◇          ◆



『ゆっくり運動』というのは 「どういう運動か?」というと、“ゆっくりした運動”

の事で〜す♪ ←(分かってるよ、んなもん!!)



“ゆっくり動く”という事だけで、骨や腱、筋肉の基礎的な部位が、効率よく

鍛えられるのです。

それに、老若男女 誰でもできる運動です。



殆ど完成されたもので言うと、【太極拳】がそうですね♪

以前、私がやっていた【意拳】という武術も、“ゆっくり歩く”練習をします。

現在、私が教えている【泉水流柔術】の練習会でも、“ゆっくり歩き”は

練習しています。



すばやく動けば、バランスの崩れなどを誤魔化せるのですが、ゆっくり動けば

誤魔化す事はできません!

正しいフォームも、身体に覚えこます事ができるのです。

もちろん、武術だけでなく スポーツやダンスにも使える練習法です。



「私、スポーツしないし…」 「太極拳の套路(型)を覚えられなくて…」

大丈夫です!!  あなたも【ラジオ体操】をした事あるでしょう?

全部覚えていなくたって、順番がバラバラだっていいんです♪




ゆっくりと【ラジオ体操】をすれば良いんですよ。

ただし、下の3つは守ってくださいね!


 1.リキまない

 2.ムリをしない

 3.身体を伸ばす動作の時に息を吐く


たぶん初めは、ゆっくりだと キレイに歩くことすら 難しいと思いますよ!



         ◆          ◇          ◆



この“ゆっくり運動”は、スポーツのフォーム矯正だけでなく、基礎体力の

“基礎の基礎”を ムリなく鍛えるので、リハビリにも向いています。

じれったいかも知れないけど、効果はスゴイです♪



「ダイエットのためにも、そろそろ運動を…」

と考えているあなた!

この“ゆっくり運動”を、運動メニューに加えては いかがでしょうか?!


場所もとらないし、お金もかかりませんよ♪



無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2006年)より掲載



ヒップウォーク

これも、私のセミナーで よくやる準備運動の1つです。

ひと通りの ストレッチをした後に やったりします。

別名『おしり歩き』と言います♪ ←(そのままじゃん!)



ですから、セミナー会場が土足の場所では やりません!!

和室の会場だと、やる可能性が大です。

 

いい大人が、ヘコヘコと〔おしり〕で歩くさまを ご想像ください。

まるで、厳かな儀式のようです! ←(本当かよっ!)




【やり方】


 1.脚を前に投げ出して座り、ヒザは軽く曲げます。

   〔おしり〕と〔足の裏〕が、床についている状態です。


 2.片脚ずつ〔おしり〕と〔足の裏〕を、上げ下ろし して歩きます。

   〔足の裏〕は、かかと部分の着地だけでも かまいません。


 ※ 初めは、手は〔おしり〕の横に置いても かまいません。

   慣れてきたら、〔ひざ〕に置いたり、腕組みをしたり、バンザイしながら前後

   に歩いてください。




【効 果】


 一般の 肩こり、腰痛、膝痛などの予防や回復にも効果があります。

 骨盤の矯正にもなるので姿勢が良くなります。

 腹部の脂肪を取る運動にもなるので、美しいプロポーション作りにも役立ちます。



          ◆          ◆          ◆



 『ヒップウォーク』は、昔から いろんな名前で あるようですね。

 外国にもあるようですよ!

 私は、子供の頃に 叔父から教わりました。

 当時は、『おしり歩き』なんて言って よく競争してましたよ。。。

 

無料レポート

『身も心も軽くなる!イスを使った簡単ストレッチ法』
http://tinyurl.com/lhxch

『あなたにもできる!プチ整体法&ストレッチ』
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無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2006年)より掲載



座布団ストレッチ

私のセミナーに参加してくれる人の中には、背骨が歪んでいる人がいます。


姿勢の悪さや バックを持つ時の偏りなど 原因は様々ですが、筋肉・神経・

血管などを圧迫し、内臓にまで影響を与えていきます。

いずれ、頭痛・肩こり・腰痛などは、なって当たり前の状態になっていきます。


まあ、現代社会で 全く歪んでいない人の方が めずらしい位ですが…。

大体は、整体せずとも ストレッチ(柔軟運動)で治ってしまうものです。

ですから、私のセミナーの初めには、必ずストレッチが入ります!


セミナー会場は、公民館などを借りていますが、和室が空いている時は、

通常のストレッチをした後に、この『座布団ストレッチ』も組み込む事があります。



          ◆          ◆          ◆


【座布団ストレッチの方法】


 1.座布団を、丸太のように丸めるか、二つ折り にします。

   高さは、三つ折りにするとか、二つ折りを重ねるとか して調節します。


 2.背中の下に横向きに敷いて、仰向けに寝ます。

   座布団の位置を、肩に近づけたり、腰に近づけたりしてください。


 3.そのまま、身体を上下に移動させます。

   また、座布団を縦向きに敷いて、左右に振ったりします。

   息を吐きながら、身体の力を抜くのがコツです。


 ※ ヘルニアを お持ちの人は気をつけてくださいね!



          ◆          ◆          ◆



『座布団ストレッチ』は、私が高校生の時に 慣れない(?)試験勉強で、

疲れた時に発見した方法なんです!



『座布団ストレッチ』は、体幹部(胴体)のストレッチです。

特に、背中のコリをほぐします。

 
身体が歪みに慣れていたのに、一度に整体で治してしまうと、指圧後の

もみ返しの様な 反作用が身体中に出たりします。

ですから、自分の体重を使った動きのストレッチをして、自然に整体して

しまえば良いのです。

 

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『身も心も軽くなる!イスを使った簡単ストレッチ法』
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でも、あんまり歪みが酷い時は、私が 軽く整体して差し上げる事も…。

もちろん、無料サービスでね☆

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2006年)より掲載



ストレッチ (柔軟運動)

私の全てのセミナーでは、必ず簡単な『ストレッチ』をします。

心臓から遠い手足から意識して、脚部、腕部、腰背部 と、順番にほぐします。



でも、日本の古流の武術では、『ストレッチ』どころか“準備運動”すら満足に やりません!  

「必要が無い」という考え方です。


確かに そうなんですよ!

襲われたときに、「ちょっと待っていてね!」なんて言いながら、“準備運動”や『ストレッチ』をする時間はありませんよね!



昔の暮らしは、電化製品などは無かったわけですから、仕事をするのは機械ではなく、全て人間が自分の体で行っていたわけです。

絶えず体を使っているわけですから、温まってほぐれている状態です。

常日頃から、身体がほぐれていれば、急に動いても問題は無いわけです。



しかし、現代人は そうも行かないですよね…。

急に、関節や筋肉に負担をかけて、故障してしまったら大変です。

そこで、ウォームアップ(身体を温める)に『ストレッチ』を取り入れているんです。



         ◆          ◇          ◆



【ストレッチの効用】


 1.関節周辺の筋や腱を柔軟にし、関節の稼働率を上げて運動能力を上げる。

 2.筋肉のコリをほぐし、血液の流れを良くする事で、乳酸などの疲労物質を

   流してしまいます。

 3.血液と共に“気”も流れるので、体温が高まり運動前のウォームアップになる。

 4.日常生活で ゆがんだ骨格を元に戻す。



 ※ つまり、『気血の流れを良くする』事によって…

   身体を動きやすくする・運動によるケガを防ぐ・体のゆがみを治す

   新陳代謝を高める・免疫力を上げる・心身の疲労(ストレス)の軽減

   とくに、冷え性・肩こり・腰痛には良いのです♪



         ◆          ◇          ◆



スポーツでは、一般に体の反動を用いた(ダイナミック)ストレッチが主流ですが、高齢者や体の固い人は、腱や筋を痛めたり損傷したりするので危険です。


ウォームアップをしようと、冷えた体で(ダイナミック)ストレッチをしたために、腱を痛めたり、余計に体が固くなったりするためです。


ですから最近、プロのスポーツ選手などは、体の反動を用いない(スターティック)ストレッチを中心に行っています。


どちらかと言うと、インドのヨガ、中国の真向法などは、この(スターティック)ストレッチに分類されるでしょう。


私のセミナーでも、初めは(スターティック)ストレッチから、小刻みに揺らしたりします。

そして、体が温まってから (ダイナミック)ストレッチに移るのです。



あなたも、運動の前後ばかりでなく、普段から『ストレッチ』を心がけてくださいね♪

 

無料レポート

『身も心も軽くなる!イスを使った簡単ストレッチ法』
http://tinyurl.com/lhxch

『あなたにもできる!プチ整体法&ストレッチ』
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無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2006年)より一部掲載



武術の筋トレ

 “筋トレ”って、知っていますよね?

そう! 「筋(力)トレーニング」の省略ですよね。

でも、多くの人は 「筋(肉)トレーニング」のイメージが強いようです!


「筋(肉)トレーニング」のイメージだと、「とにかく筋肉を肥大させれば、

大きなパワーが出せる」と、考えがちです。



以前、お話したように、身体には “腹筋”に対しては“背筋”と いうように、

相対する筋肉がついていてバランスをとっています。

これを、“拮抗筋”と 言います。


腕を見てもそうですよ!

腕を伸ばして、物を押したり、投げたりするのに働く “上腕三頭筋”があります。


腕を曲げて、物を引いたり、持ち上げるのに働く “上腕二頭筋肉”もあります。

この、お互い相対する2つの筋肉が、“拮抗筋”なんです。



身体って、骨という柱があって、それを筋肉が動かして運動するものですから、

筋肉の力(筋力)が強い方が、力が出せるのは確かです。

ただ、その運動によって、働かせ方が異なるのです。


例えば、物を押すのに 上腕二頭筋まで働かせたりする事は、自転車の

ブレーキをかけながら、ペダルをこいでいるようなものです




         ◆          ◇          ◆



以前、TVで 筋肉隆々のマッチョマンと、何かの職人をやっている人が、

物を遠くに投げたり、重い荷物を担いで移動したりするゲームをやっていましたが、

普通の体つきの職人が圧勝しました。


マッチョマンはTVを意識してか、ムダな力を入れて筋肉を誇示していたけれど、

職人の方はムダな力を抜いて リラックスしていました。

だから、職人の方が実力(筋力)が出せたのですね。

それから、必要の無い筋肉を鍛えていなかった事も、勝因の1つでした。



いま 流行のスポーツジムで、筋肉を鍛える事は 別に構わないのですが、

筋肉の正しい使い方を 覚えて欲しいですね!


トレーナーやインストラクターの中には “筋肉至上主義”みたいな人もいますが、
生活や健康に密着した 筋肉の動かし方の指導も、心がけて欲しいものです。


ダイエットだって、ただ単に “筋トレ”をすれば、痩せる訳ではないのです!

“筋トレ”したからって、脂肪が そのまま筋肉に変身する訳ではないのです!


アパパも、以前ダイエットに筋トレを取り入れたら、脂肪の下に筋肉がついて

プロレスラーみたいな体格になってしまいました!



         ◆          ◇          ◆



古流の武術では、技(の動き)を繰り返し練習する事で、

骨に近い腱や身体の内側の筋肉(インナーマッスル)をしなやかに鍛えていきます


そして、パワーの足りない所を補う意味で、武器術の練習を 重い鍛錬具を

利用して行うのです。


これで、フリーウエイトを使った筋トレ(ウエイトトレーニング)と同じく、

骨から遠い身体の外側の筋肉(アウターマッスル)を鍛えるのです。



このように、武術では 動きの妨げにならない、必要なだけの筋肉をつけます。

だから、武術の名人・達人は、細身の人でもパワフルなのです!

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2005年)より掲載



筋肉の使い方(伸筋活用)

スーパーで買い物をしている人を見ますと、カートを使わない人は、腕を“L字”か“V字”に折って、カゴを引っ掛けています。

これはもう 屈筋』優位の体質になっていますので、そのまま肘を胴体の前部にくっつけ、もう片方の手でカゴを持った方の肘をおさえる…。

つまり、自分の体を抱きかかえる様にすると、楽になります。カゴの重さを、2本の腕で分散するわけです。


  
対して、アタッシェ・ケースを持つ様に、伸ばした腕でカゴをぶらさげて持つ人は、『伸筋』優位の体質です。

指を握りこむと、屈筋が働きはじめるので、伸ばした指先に引っ掛けるのがポイント
  
これは、伸筋』優位での 【脱力】状態になります。



 武術でも、武器を扱う時や相手を掴む時は、指先の引っ掛けは非常に大切です。

伸筋』優位での 【脱力】状態から伸筋』を使った【出力】状態へ移りやすくするためです。 



もし、あなたが屈筋』優位の体質で、「疲れやすい」とか「疲れが抜けない」というのであれば、屈筋伸筋のチェック方法を繰り返して伸筋優位の体質に変えることを、おすすめします。 

「疲れない」というのなら、ムリして変える事もないでしょう!



          ◆          ◇          ◆



あなたは、乗り物の棚などに 重い荷物を載せたいとき、どうやって載せますか?

ゆっくりと 腕にかかる重みを楽しみながら 載せるとしたら、あなたはマゾヒストか、体力づくりの筋トレマニアです!(失礼!)



荷物をゆっくりと上にあげる運動は、屈筋を使った入力状態です。

ムダな力(この場合は『伸筋』)を入れずとも、腕がプルプルと辛い状況になります。


  
   そんな時、人は無意識に“反動を使いますね。

伸筋にスウィッチし 腕を前に振り、反動で上がった荷物を、そのまま勢いで 今度は下から押し上げます。

当然、脚を伸ばしたり、背中をそらす といった伸筋で 補助してやれば、ますます 楽に荷物は上がります。

これって、最初から最後まで、伸筋』を使った【出力】状態です。



前者屈筋より、後者伸筋の方が、断然 楽なはずなんです。

それはね、人間は、『屈筋』よりも『伸筋』の方が強力だからなんです!

だから重力に逆らって立っていられるんです。

男性でも、50キロの荷物は腕を曲げて屈筋引っ張ったり、持ち上げるのは大変でしょう?

   
でも、腕を伸ばして伸筋押し出すのは 比較的簡単だよね 。

全身の『伸筋』の力を順序良く、そして ロスすること無く使う。


  
説明したような事を、利用しまくっているのが武術の技です。

もちろん! こればかりじゃあ無いけれど、大きな要素です!!
  
泉水流柔術のセミナーでは、もっとくわしく 説明いたします。

これから なるべく多くの人に、快適に生活して欲しいと考えています。

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2004年)より掲載



筋肉の使い方 (伸 筋・屈 筋)

通常 動物の体は、骨をはさんで筋肉が付いています

 

それは、体を 伸ばす筋肉と、曲げる筋肉なんです。

一般に、伸ばす筋肉伸筋曲げる筋肉屈筋と 言います。

 

分かりやすいので、腕の筋肉で説明しますね。

力こぶ の上腕二頭筋は、腕を曲げる筋肉なので 屈筋と 言います。

骨をはさんで、反対側にある上腕三頭筋は、伸ばす筋肉なので伸筋と 言います。

 

  
  ●屈筋伸筋も緊張していない(働いていない)筋肉のニュートラル

    状態は、上の〔 筋肉の使い方 〕で言う【脱力】に なります。


  ●屈筋を使って力を入れた(力んだ)状態は、【入力】に なります。


  ●伸筋を使って力を出す状態は、【出力】に なります。

 


  ◎『屈筋』(上腕二頭筋)は、物を持ち上げたり、引っ張る時に使います。

   通常、重い物は、力まないと持ち上がりません。

   柔道や相撲、レスリングの選手は、必要な筋肉なので鍛えていますね。

 

  ちょっと 身近にある物を 持ってみてください!

  電話帳とか、事典とか、少し重い方が良いですね。

  いま、何か持ち上げてます? どうですか? 腕の感じ…。

  屈筋』(上腕二頭筋)だけで、伸筋』(上腕三頭筋)は、働いていないでしょう?

  もし、伸筋』(上腕三頭筋)も働いていたら、ムダな力が入っているということ!  

  片腕ずつ持ってみて、腕の筋肉を触ってチェックしながら、ムダな力を取るようにしてみてくださいね。

 

  
  ◎『伸筋』(上腕三頭筋)は、物を投げたり、打ったり、押したりする時に使います。  

   野球、ゴルフ、テニスなどの球技や、剣道、空手、ボクシングなどにも必要な筋肉です。

 


  今度は、壁に向かって両腕を前に伸ばして、寄りかかってみてください!

  どちらの腕でも良いから、片手で触ってみて!

  やっぱり伸筋』(上腕三頭筋)だけが、働いているよね?!

  もし、屈筋』(上腕二頭筋)も働いていたら、ムダな力が入っているということ!
 
  片腕ずつ寄りかかって、腕の筋肉を触ってチェックしながら、ムダな力を取るようにしてみてくださいね。

 


  今は、腕だけで体感してもらったけど、体は骨をはさんで拮抗する筋肉で動いているんです。 

  じつは伸筋に限っては、柔道や相撲、レスリングにも必要なのです。

  投げたり、突っ張りや、突き放したりも しますからね!

  柔道や相撲、レスリングの選手は、屈筋伸筋両方みっちり鍛えていますから、見た目も 実際も すごい筋肉量なのです。

 

 

  泉水流柔術は、完全に『伸筋』を活用した技術です

自分の体重を腕で支えるだけの力があれば、ウエイトトレーニングで筋肉をムリに鍛える必要はありません!

  
  
※ もちろん 筋肉を鍛えることが、ムダになるわけではありません! 

   要は、使い方って事です!

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2004年)より掲載



【 力の意味 】(入 力・脱 力・出 力)

 「身体の“”」というと、あなたは どんな “”を 思い浮かべますか?


 これを一口にいって“体力”といいますけれど、大きく2つに分けられます。


   1.腕力、脚力といった“筋力”(瞬発力・持久力)

   2.心肺機能の持久力を含む“内臓力”(心肺機能・免疫力)
 
    ※ 体力  =  筋力(瞬発力・持久力)+ 内臓力(心肺機能・免疫力) 

  そして 体の大切な柱である骨を、動かすのは筋肉です。

 筋肉を上手に使えば、身体も上手に動くのです。


 ここでは、「筋肉を上手に使った身体の動かし方」を解説するために、

 “”に関する「言葉の意味の違い」を理解しておいてください。
 
  

   『入 力』 … 身体の筋肉に力を入れる事(インプット)をいいます。

           つまり、力(りき)んだ状態をいいます。


   『脱 力』 … 身体の筋肉の力を抜いた事(ニュートラル)をいいます。

            これは、最低限度立っていられるだけの筋力を使っている状態。


    『出 力』 … 身体の筋肉から力を出す事(アウトプット)をいいます。

 


 これらの意味の違いを認識する事は、非常に大切です。

 泉水流柔術の、〔身体能力開発法〕や〔護身術〕を学ぶ方々にも理解していただいています。

 

  
 武術・武道やスポーツに限らず、多くの指導者が勘違いしている言葉が次の[例]です。

  

    ● 『入 力』 と 『出 力』を一緒にしているパターン。

     [ 例 ] 「もっと力を入れて打つんだ!」


    ● 『脱 力』 と 『出 力』を一緒にしている指導者もいます。

     [ 例 ] 「脱力すれば強い力が出るんだ!」

 

 指導者の方々は、「いくらなんでも そのくらいは、皆分かるだろう」なんて

 思っているかも知れませんが、その言葉どおり受け取る人も多いのです。

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2004年)より掲載



体軸(正中線・中心線)

正中線、中心線、センター、コア …… 呼び名は色々あるけれど、全部同じものです。 

因みに、泉水流柔術では、“体軸”と呼んでます。

 
最近、日本のスポーツ界で注目されて来ていますが、以前から舞踊やダンスの世界では

重要視されてきました。 

古流の武術では、“極意” の 1つとされています。



あなたは、きっと「へっ? こんな事が?!」と、思われるでしょうね。

だけど、これを体得しているのと、していないのとでは、身体の動きが全然違ってくるのです。

 昔は、今のような情報社会では無かったので、“秘伝” と していたのです。



      ◇◇◇           ◇◇◇            ◇◇◇



【 体軸はイメージ 】

 『体軸』は、『 自分で線(ライン)の意識をつくる 』

 それも、身体の表面では無く、『 身体の真ん中を縦に貫くイメージ!』
  
 
 
【 体軸のメリット 】  自分の身体の動きを、コントロールしやすくなる。


 1. 身体のバランスが良くなる。

 2. 身体の動きが良くなる。

 3. 長時間立っていても、疲れにくくなる。


  
天才的な武術家やアスリート達は、意識するしないに関わらず、体軸をしっかりと持っていますが、

一般の人が、快適な日常生活やスポーツやダンスなどでの優れたパフォーマンスを求めるなら、

やはり、意識する事が不可欠でしょう。


 『意識を極める』と書いて、“極意”と読みます。


道具を使う方法もありますし、幾通りもの方法があります。

泉水流では、『体軸』に関しては いくつかの方法を使い分けています。

これらは、『意識』と『身体の動き』を一致させるトレーニングです。

やればやっただけ、身につく、良くつく! です。

なんと言っても『体軸』などの意識体を分かっている指導者に教わる事が、

早く確実に効果が期待できます。


なにも、これらは武術家や武道家の専売特許ではありません。

もちろん、スポーツマンやダンサーの、為だけものでもありません。
   
皆で身につければ、転倒防止、寝たきり防止にも、役に立ちます。

身体能力アップは、間違い無しです!



      ◇◇◇           ◇◇◇            ◇◇◇



 『秘伝』って、こういうもの多いです。

 知ってしまえば「うそ!これだけ?」とか「え〜!当然じゃないの?」とか、

 まるで “手品の種明かし” みたいです!

 でもね、種がわかったからって、“マジシャン”に なれないでしょう?

 知識だけじゃだめなんです! 

 いっぱい練習しないと、実際に行動しないと…ね。


周りを見回しても、ほとんどの人は『体軸』が出来ていません!

あたりまえですよね! 意識した事が無いんですから…

武術家も、プロスポーツの選手も、しっかりとした『体軸』が出来ている人は、

極めて少ないのが現状です。


でも、最近は 眼の肥えた人が増えて来ていますので、わかる人も多くなって来ていると思いますね。

 今の言葉で言えば、「意識したもん勝ち」です!  (笑)


武術家や武道家の中には、「正中線は、背骨だ!」と言い切っている人も居ますが、

“背骨は身体の柱”であって、『軸』ではありません。

人の体形によって、多少の位置は変わりますが、背骨よりも前方にあります。

ぜひ あなたも、楽しみながら 自分の『体軸』を見つけてください。

皆さんの生活に、少しでもお役にたてれば幸いです。


泉水流では、この『体軸』という“極意”を身につける具体的な方法を 伝授しています!

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2004年)より掲載


 



ナンバ走り(歩き)

     アテネオリンピック 陸上短距離の、S・S 選手 残念でした!

  彼の言葉『ナンバを意識した』は『ナンバ走り』として日本中に知れる事

  となりました。


  じつは 『ナンバ』なんて名称、私も最近まで知りませんでした。

  もともと、武術用語じゃないしね! 歌舞伎には、あるようですが…

  結局、江戸時代以前の人々の、体の使い方を『ナンバ』と言うようです。


  武術家のY・Kさん までが『ナンバ』なんて言うものだから、武術界も

  こぞって『ナンバ』を合唱しています。

  「ブームにあやかろう!」ってんで武術雑誌から、健康雑誌、一般書籍

  まで『ナンバ』と表紙に印刷されているものを、多く見かけます。

  内容たるや、もう皆さん 好き勝手 書いていますね。

  “古い名称を使った、新しい走法”で、しかも完成されていない!

  となれば、言ったもん勝ち!(爆)


  ところで、肝心のS・S 選手の言う『ナンバ』とは何でしょう?

  “陸上マガジン” という雑誌に、『ナンバ走り』の腕振り に関する記事を

  見つけました。

  「相撲のテッポウ(突っ張りの練習)のように、腰と一緒に前へ送る動き」

  と あります。


  これは、武術に限らず、スポーツやダンスでも常識ですよね。


  ここで まず、分かった事は…


  1.日本人は 農耕民族であり、農作業において鍬を振るうときは、身体的

    なクセとして、“利き手 利き足”を前に出す。

    武士も、刀を振るときは、“利き手 利き足”を前に出す。

  
  2.江戸時代の、武士や飛脚以外の一般庶民は走れなかった。という説も

    ある。

    戦で農民が駆り出されても、時代劇や映画のように走れなかった。

    槍もって歩いてた。という説もある。


    ※ 資料は、明治時代に書かれたものですが、内容に関しては、

      “西洋人的な走り方が出来なかった”と、解釈するべきでは?


  3.武士や忍者が走るときは、刀を押さえていなければならず、飛脚も

    また荷物を付けた棒を押さえて走らなければならない。

    やはり 体幹部(胴体)を捻ると、走りづらい。


  4.着物や浴衣を 着崩さずに歩くには、体幹部(胴体)を捻ってはいけない。

    また、舞踊や歌舞伎の動きから考察しても、捻りは存在するが体幹部を

    捻っている訳ではない。

    武術も同じである。道着を着慣れない人は、前がはだけてしまい、すぐ

    着崩れる。


   ※ 正しくは、『腰から動いて 上体の向きを変えている』のである。

        
   この部分を見る限り、武術の基本中の基本なのですが…

 

      ◇◇◇      ◇◇◇       ◇◇◇      

 

      注目されているのが、“手足の同時運動”と“手足の交互運動”です。


   うちの子の アルバムの写真を見ると、赤ちゃんの頃〜3.4歳頃まで

   右手右足、左手左足 を 同時に前に出す“手足の同時運動”が多く

   写っています。


   それが 幼稚園や保育園の 運動会の練習で、行進を教わってから
   
   右手左足、左手右足 を交互に前に出す “手足の交互運動” である

   現代式 (西洋式) の歩き方に変わってしまっているのです。

   という事は、“手足の同時運動” が 『ナンバ』 なのでしょうか?


   今ここに、ヨーロッパの絵画集と、日本の浮世絵集があります。

   右手右足、左手左足を同時に前に出す “手足の同時運動” も、

      右手左足、左手右足を交互に前に出す “手足の交互運動” も、

   なんと 絵画を見るかぎり 西洋・東洋 問わず両者に見られるのです。

   
   
   確かに、日本の浮世絵の方が 『ナンバ』の動きが多いのも事実です。

   ただ 『ナンバ』 の動きは、けっして 日本人だけの動きでは無いという事

   になります。

   西洋の 射撃やフェンシングだって、“利き手 利き足”が 前なんです

   から…。


   体幹部(胴体)を捻らなければ、“手足の交互運動” で 歩いても着物も

   浴衣も 着崩れません。

   大切な事は、こわれたロボットみたいに “手足の同時運動” を練習する

   事では無く、“正中面”(真直ぐ正面を向く姿勢)を作る事なのです。


   
      ◇◇◇      ◇◇◇       ◇◇◇      

 

   今回のオリンピックでも、『ナンバ走り』 が見られました。

   サッカー、バスケットボール、陸上と いろいろな スポーツ・シーンで!

   一番多く見られたのがマラソンでした。

   やはり、飛脚なども長距離を走りますからね!

   はっきり言って 『ナンバ走り』は、長距離走 向きです。

    マラソンの選手の中にも、知ってか知らずか「ナンバ走り」で走っている

   選手って多いです。


   走っているときの、「体勢を整える時」や、「急な加減速の時」に、

   一流のアスリート達は、『ナンバ』 を使いこなしています。

   つまり、「バランス と スピード の コントロール」に 使っています。

   
   “手足の同時運動” か “手足の交互運動” かは、その時の状況で変わる

   もの。   結果に過ぎないわけです。

 

   『ナンバ』を説明するとしたら…

   1.正中面(真直ぐ正面を向く姿勢)をとる。

   2.体幹部(胴体)を捻らない。

   3.腰から動く。


   『“正中面”をつくり、腰から動き、上半身が下半身を助ける事は

   有っても、邪魔をすることは無く、各々が独立した存在であるか

   の様に動ける状態。』

   と いう事になります。

     
      体得すれば、武術やスポーツで “相手から動きが読めない”という利点

  はあります。

  だからといって、「ナンバの生活をしましょう」 などとは言いません。

  武術やスポーツの中で、必要なとき、必要なだけ使えれば良い。

  その為に、感覚を掴んでおくのも 良いのではないか、という提言です。


  よく、雑誌などで「ナンバで健康になる!」という特集がありますが、意味

  わかりませ〜ん! (爆)

  実際に、健康やシェイプアップに効果があるのは、体幹部(胴体)を

  捻る運動なのですから…。

 

無料メールマガジン『アパパのゆかいな健康講座』(2004年)より掲載