大自然の動き
これは「無心だと急に攻撃されても避けられる。」とか、
「いつの間にか自然と手が出て…。」という話ではない。
初めてお会いした方に、よく言われるのが、
「力のいらない護身術を教えて居るのですね!
梃子(テコ)の応用ですよね?」
確かに、梃子も使うし、体重(重力)も使う。
いかに、力を使わず、素早く、楽に相手を倒す技術を
習得するかが武術の醍醐味であり、そのために辛い稽古
を重ねているわけである。矛盾している。。
「将来、楽をしたかったら、今、苦労しなさい!」
みたいな感じだが、結局、一生が修行に変わりない。。
以前、日本の柔術は、もともと剣術の動きだし、
うちの流派の柔術も護身術も、刀を振る動きだ。
…という話をした。
動きは、それだけではない。
突き詰めれば、どの武術も同じと思うが、
うちでは『波と渦』の動きを重視している。
俺は、稽古の最中に、
「小ぉ〜波、大ぉ〜波ぃ〜♪」
「サッブ〜ンと波を被せる!」
「はい、ここでターンして☆」
「糸ぉ〜巻き巻き〜♪」
と、訳のわからない事を口走るが、
これは、自然界のエネルギー(気)の動き。
人の力も及ばない、全てを支配するエネルギー。
風(空気)も、水も、光も、電気も、
『波と渦』の運動をしているからだ。
一見、直線に見えても、横から見れば波形、
縦から見れば渦状に回転している事が分っている。
要するに『螺旋(らせん)』だ。
武術の動きは、大自然…いや、大宇宙の動きとも言える
『波と渦と螺旋(らせん)』を、技で体現するものだ。